マルニ60誕生に欠かせない60VISION(ロクマルビジョン)
「工芸の工業化」をモットーに取り組んだマルニ木工株式会社の誕生
元々は1928年に設立した「昭和曲木工場」を前身としておりましたが、1933年「マルニ木工株式会社」は誕生しました。当時まだ、木工家具は職人が手作りするものとされていた時代に、「工芸の工業化」をモットーに家具の工業生産、量産化をめざし様々な技術の開発に取り組みました。
その後に起きた第二次世界大戦の厳しい時代を乗り越え、洋家具の大量生産という新たなチャレンジを始めた昭和20年代後半。マルニが製造販売したデッキチェアーは、猛暑も要因となり爆発的な大ヒットを記録しました。洋家具づくりで培った曲げ木の技術を活かした肘掛けや足台の心地よさも手伝って「ベランダにはマルニのデッキチェアー」が定番となり、生産が追いつかないほどの人気となります。これを機に生産能力の拡大をスタートさせたマルニは、多くの人に洋家具と触れ合うきっかけをつくってきました。
マルニ60が誕生したきっかけとなった60VISION
それから長い時間を経た今、私たちを取り巻く社会情勢は刻々と変化しています。多種多様な価値観が生まれる中、普遍的な価値を届けるべくMARUNI60は生まれました。マルニ60が生まれたきっかけとされるのが1960年代に販売した「No.79」という商品になります。
1960年代といえば、今でいうマーケティングという考え方が今のように浸透しておらず、日本のメーカーは消費者のニーズよりも自分たちが作り提案したい『世界に通用するスタンダード』を情熱をもって作っていた時代とされていました。しかし、今後これらは時代の激流の中で、また、消費の多様化により次々と生み出される「新商品」に埋もれ、そのほとんどが廃盤になっていきました。
そんな中の2002年、日本を作ってきたそんな素晴らしい商品たちの"普遍的な価値"を再認識し、ロングライフデザインとして育成していこうというあるプロジェクトが、日本を代表するデザイン活動家・ナガオカケンメイ氏の発案によってスタートします。
日本のホンモノを作った企業だけが集まれる仕組み。それが『60VISION(ロクマルビジョン)』です。
MARUNI60は1960年代に製造、販売をしていた「No.79」と呼ばれる商品の復刻が軸になっています。当時は世界的にデザイン運動が活発な時代でした。新しいものを世に送り出し、快適さや利便性を追求することもメーカーの責務である一方、安易な商品開発や強引な消費喚起で短命に終わる商品も沢山ありました。
時代を経て何らかの理由で製造中止や廃番になったものの中には、普遍的な価値を持っているものも少なくありません。MARUNI60は、そのような価値を持ったアイテムを復刻するとともに、当時は存在しなかった今の時代にも適応するプラスαのアイテムを付加することで構成されています。
マルニ60のコンセプト
「創ることの楽しさ、生み出すことの苦しみ。
さまざまな経験を経てカタチになったものには、いつまでも変わらない普遍の価値があります。」
MARUNI60が一番大事にしているコンセプトです。流行に流されないものづくりの姿勢と、原点である創業者の想いと情熱を持ち続けると同時に、遊び心や楽しさという視点も忘れず、豊かな生活に繋がるような挑戦を続けております。
ロクマルビジョンを誕生させた
ナガオカケンメイ
ナガオカケンメイとはロングライフデザイン活動家として知られておりまして、D&DEPARTMENT PROJECT代表取締役会長でもあります。
「時代や流行に左右されることのない普遍的で優れたデザイン」を意味するロングライフデザインの提唱者であり、47 都道府県のモノを旅とデザインの視点から見つめ直すガイドブック「ddesign travel」を発行しております。
レトロや流行じゃない
ロングライフデザインを提唱
流行に迎合する消費型デザインではなく、時代の価値観を踏まえ、価値観を創造することがロングライフデザインです。
そして、60 VISIONのブランドは"モノ"をデザインすることではなく、"価値伝達"をデザインすることが、 ロングライフデザインだと考えています。 ブランドの想いを、お客様お一人お一人に価値を伝えていただくことで、ロングライフデザインになります。ロングライフデザインは、「作り手」「売り手」「買い手」そして「社会」によって構築されてます。
価格だけではなく、長きに渡って使えるという価値。 時代を超えていけるデザインと、価値を伝えるデザイン。 それらが60 VISIONブランドの魅力です。
具体的にどのような取り組みを
行なっているのか?
60VISION (ロクマルビジョン)は、「ロングセラー製品を作りつづけるまじめな企業」と、「開発から販売までをトータルでプロデュースする事業部」とで創る異業種合同プロジェクトです。
ロングライフというテーマのもとに、各メーカーがそれぞれの製品とブランディングを改めて見直し、流行に左右されないブランドをしっかり育てています。
「新たなマーケットを創出し、 参加企業とともに大きなプロジェクトへと発展し続ける」というのが60VISIONのテーマとなります。
参加条件
また、60VISIONは多企業参加型の共同プロジェクトです。
ブランドの価値を維持、継続するために参加メーカーには一定の条件を付しています。
ロングセラーマーケットを開発して
育てていく60VISIONのブランディング
60VISIONは単なる過去のメーカーの復刻をしてリブランディングを行なっていくことだけではなく、さらにその先のロングセラーマーケットを創造し、商品に対して「思い入れがある」「持っているだけで自慢」「自分を表す自己表現」などの認知をしてもらうことが一番重要だと考えています。
そのためにも
1、60 VISIONの目的の明確化
2、商品開発の手法
3、ブランドの進化( 4つのステップ)
4、ブランドのメンテナンス
の4段階を徹底してブランディングの取り組みを行なっております。
なぜかと言いますとブランド構築に達成した後、何も手をかけなければ、そのブランドはブランド力を失い、衰退していきます。60VISIONでは、ロングセラーブランドを継続するために、メンテナンスを行います。
まとめ
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
有名なカリモク60もそうですが、マルニ60も同じ時代を駆け抜けてきた皆様に愛されるブランドの1つです。
是非その奥深さ・良さというものを知って頂けたら幸いです。
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