マルニ60 フレームチェアって？　誕生の背景も合わせてご紹介

マルニ60とはどのようなブランドなのか？

広島県の老舗家具メーカー『マルニ木工』が、1960年代のロングライフ製品を復刻生産する「60VISION（ロクマルビジョン）」に参加し、立ち上げた新ブランドです。

1928年の創業以来「工芸の工業化」をモットーにいち早く近代化を達成し、高品質な家具の普及に努めてきたマルニ木工。
「日本の洋家具の歴史はマルニから始まった」と言っても過言ではありません。

そのマルニから2006年、60VISIONというパートナーを得、創業当時の熱い想いを胸に『マルニ60（マルニロクマル）』は誕生しました。当時のデザインはそのままに、現代の環境に合わせてより良い製品に仕上がっています。

マルニ60のフレームチェア

マルニ60の象徴的な商品として紹介されている「フレームチェア」

最近注目されているという訳ではなく、遡ること1960年から人気の商品で、戦後を象徴するソファのひとつとも言えます。

当時は斬新なアイディアだったノックダウン方式や、こだわりなどご紹介したいと思います。

始まりとなった「No.79」応接セットの誕生

1960年に発売となったNo.79応接セット。

のちにフレームチェアと呼ばれるマルニ60を代表するアームチェア、ソファの誕生です。戦後になって欧米の合理的な考え方、生活様式が取り入れられる中、日本の住宅スペースはまだ十分といえる広さを確保できていませんでした。

そんな中販売された、当時の日本では珍しいノックダウン式のアームチェアは収納、持ち運びの容易さとセパレート型の機能性を合わせ持ちながら、快適な座り心地を実現した商品として人気を博しました。洋式化の途上にある日本の狭い住空間にも調和する商品だったと言えます。

No.79から『みやじま』という愛称へ

1970年、10年の発売から数えて「No.79」は「みやじま」という名前で知られるようになり、更に1977年まで製造が続きました。

この愛称は、肘から足の部分が鳥居に似ていることと、マルニ木工の発祥地である広島県宮島の厳島神社を連想させるため選ばれました。前にも触れたように「みやじま」は日本のコンパクトな住宅環境でも全体の調和を乱すことなく、機能的なリビングセットとして多くの人々に支持されました。

2007年の60VISION（ロクマルヴィジョン）をきっかけに「オークフレームチェア」に。

1977年のみやじまの生産終了から30年後の2007年、シンプルで品質が良く普遍的と言えるアイテムを集めたプロジェクトである60VISION（ロクマルヴィジョン）にマルニ木工の「みやじま」は参加することになります。

これが「マルニ60」が誕生した瞬間でもあります。

「60VISION」とは

遡ること1960年代といえば、今でいうマーケティングという考え方が今のように浸透しておらず、カリモク家具をはじめ、日本のメーカーは消費者のニーズよりも自分たちが作り提案したい『世界に通用するスタンダード』を情熱をもって作っていた時代とされていました。しかし、その後これらは時代の激流の中で、また、消費の多様化により次々と生み出される「新商品」に埋もれ、そのほとんどが廃盤になっていきました。

そんな中の2002年、日本を作ってきたそんな素晴らしい商品たちの"普遍的な価値"を再認識し、ロングライフデザインとして育成していこうというあるプロジェクトが、日本を代表するデザイン活動家・ナガオカケンメイ氏の発案によってスタートします。
日本のホンモノを作った企業だけが集まれる仕組み。それが『60VISION（ロクマルビジョン）』です。