カリモク60の歴史 ーナガオカケンメイとの出会いー

カリモク60って、
どんな家具

『カリモク60』ーそもそも何て呼ぶのか?
よく、「カリモクロクジュウ」とか、「カリモクロクゼロ」などと呼ばれたり、「カリモナナロクゼロ」っていう呼ばれ方をしたこともあるとか。 そういわれてロゴを見てみると、確かに[ク]が[7]に見えないこともないです…。 ですが、どれも違います。

正しくは、『カリモクロクマル』といいます。

では、よく聞くカリモク家具とどう違うの? カリモク60って、カリモクの何??

簡単に説明しますと、「カリモク」は国内大手の老舗家具メーカー「カリモク家具株式会社」のこと。 そのカリモク家具が”ロングライフデザイン”をコンセプトに掲げ、2002年に立ち上げたブランドのひとつが「カリモク60」です。 (その他にもカリモク家具では「domani」「KITONO 「カリモクニュースタンダード」などのブランドも展開しています。)
”60”ってなんの数字?昔から実家にあるソファとよく似てるけど関係ある?
それでは、カリモク60が生まれた経緯をご説明しましょう。

ものづくりへの情熱と
歴史が刻まれた家具

カリモク家具ー。 誰もが一度は、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
1940年愛知県にて誕生した、日本最大級にして歴史のある、日本を代表する老舗家具メーカーです。 きっとどこかで、カリモク製の家具をお使いになったことがあると思います。
1940年に創業し、ミシンのテーブル、ピアノの鍵盤などを生産してきたカリモク家具の前身「刈谷木材」は、アメリカ向け家具の木肘などパーツ生産経て、輸出用に本格的に洋風家具の生産を開始。
そのノウハウを生かし、国内向けの自社製品として現在のKチェアの原型となる"国産家具第一号"のチェアを生み出します。

1962年のKチェア誕生後、リビングテーブル、カフェチェア、ロービーチェア・オットマンと、次々と新しい家具たちが世に送り出され、カリモクの商品が日本国中に広まっていきました。

Kチェアをはじめ、このころに誕生した多くの製品は、シンプルで品質がよく、普遍的なデザインのものが多くありましたが、時代がめまぐるしく変化していく中で、消費の多様化により次々と"新商品"が生み出され、その多くのものが"廃盤"となっていきました。

ナガオカケンメイとの
出会い

1960年代といえば、マーケティングという概念が今のように浸透しておらず、カリモクをはじめ、日本のメーカーは消費者のニーズよりも自分たちが作り提案したい『世界に通用するスタンダード』を情熱をもって作っていた時代。しかし、これらは時代の激流の中で、また、消費の多様化により次々と生み出される「新商品」に埋もれ、そのほとんどが廃盤になっていきました。

2002年、日本を作ってきたそんな素晴らしい商品たちの"普遍的な価値"を再認識し、ロングライフデザインとして育成していこうというあるプロジェクトが、日本を代表するデザイン活動家・ナガオカケンメイ氏の発案によってスタートします。
日本のホンモノを作った企業だけが集まれる仕組み。それが『60VISION(ロクマルビジョン)』です。

そのなかでナガオカケンメイ氏が、先ず最初に目を付けたのが、カリモクが生んだ「Kチェア」。当時のデザインそのままに復刻されました。『カリモク60』の誕生です。

60VISIONプロジェクトに賛同したカリモク家具が、1960年代に生まれた家具を再編集して立ち上げたブランドが「カリモク60」です。単に「ブームの復刻」ではなく、その商品に込められた企業のモノづくりへの思いとともに掘り起こす、「ロングライフデザイン」のブランドです。

カリモクの生い立ち

1940(昭和15)年、刈谷市の小さな木工所からスタートしたカリモク。創業以来、梱包用の木箱やミシンテーブル、ピアノの部品などさまざまな木工製品を下請けとして生産。だが下請けでは景気の浮き沈みに翻弄。そこで安定的な経営を目指すため、これからは自分たちの製品を作って売っていこうと決意する。家具という新たな分野へ飛び込んだのは、その3年ほど前からアメリカに輸出する木製のアームチェアを手がけていたからだった。折しも日本では、住宅事情が大きく変化していた頃。間取りにダイニングキッチンやリビングが登場するようになり、畳の和室からカーペット敷きの洋室が増えていた。そこでこれからは洋家具の需要が伸びるだろうと考えたのだ。そうして完成した1000番は、ゆったりと腰を掛けられるスクエア型の布張り木肘椅子だった。それはアメリカに輸出した木製アームチェアを日本人の体に合わせ、より洗練した形にデザインし直したものだった。1000番はその後さらに直線的なラインへと改良され、WS 1150番と呼ばれていた「Kチェア」になった。

1940
初代社長 加藤正平 が愛知県刈谷市に木工所を創業
1947
刈谷木材工業株式会社を設立。紡織機木部品を製造
1951
高度な木工技術を必要とするミシンのテーブル部分の製造
1957
製材木取工場や乾燥室など本格的な木工技術を支える設備環境の拡充
1959
輸出家具の木製部の生産を開始
カリモク60フレームチェアの原型モデル「#800」誕生 (アメリカ指定のデザインの商品化)
1960
いよいよ高度成長期
ステレオキャビネットや白黒テレビキャビネットの木部を手掛ける
1962
ピアノ鍵盤とアクションの製造を開始
カリモクの技術革新の時代 ミリ単位の勝負からミクロの戦いへ
1962
「今こそカリモクとしてのブランドを持ちたい」
ついに自社製品として国内向け家具の生産を開始する
カリモク60Kチェアの原型モデル「#1000」誕生
1962
カリモク60リビングテーブルの原型モデル誕生
カリモク家具販売株式会社を設立
1967
カリモク60カフェチェアの原型モデル誕生
1968
カリモク60ロビーチェアとオットマンの原型モデル誕生
1969
カリモク60スリーピングソファの原型モデル誕生
1970
カリモク60Dチェアの原型モデル誕生
1972
カリモク60サイドボードの原型モデル誕生
1973
カリモク60Dチェアの原型モデル廃番
カリモク60リビングテーブルの原型モデル廃番
1975
カリモク60フレームチェアの原型モデル「#800」廃番
1979
カリモク60サイドボードの原型モデル廃番
1993
カリモク60カフェチェアの原型モデル廃番
2002
1960年代に生まれた家具の中から普遍性あるデザインを選び抜き、「カリモク60」ブランドとして再編集

レトロや流行じゃない
ロングライフデザイン

カリモク60のブランドコンセプトは「ロングライフデザイン」。 流行に迎合する消費型デザインではなく、時代の価値観を踏まえ、価値観を創造することがロングライフデザインです。
そして、カリモク60は"モノ"をデザインすることではなく、"価値伝達"をデザインすることが、 ロングライフデザインだと考えています。 カリモクの想いを、お客様お一人お一人に価値を伝えていただくことで、ロングライフデザインになります。ロングライフデザインは、「作り手」「売り手」「買い手」そして「社会」によって構築されます。
価格だけではない、長きに渡って使えるという価値。 そして、時代を超えていけるデザインと、価値を伝えるデザイン。 それらがカリモク60の魅力なのです。

ロングライフブランド
『カリモク60』の証。

『カリモク60』ブランドのすべてのアイテムには、シリーズごとに下記の様なアクリル製ブランドプレートが、ひとつひとつ職人の手で取り付けられています。1960年代当時からあるデザインの商品にはスタンダードな黒色アクリルプレート。そのほかにも、新たなロングライフデザインを創るという活動として、「カリモク60+(ロクマルプラス)」や「カリモク60+カリモク (ロクマルプラスカリモク)」など様々なブランド展開をして、現代生活のニーズに応えています。

  • 大事なブランドプレートも人の手で打ち込んでいます。
  • ●カリモク60(カリモクロクマル)
    スタンダードな黒色アクリルプレート。Kチェアをはじめとした60年代に生まれたロングライフなアイテムに取り付けられています。
  • ●カリモク60+(カリモクロクマルプラス)
    『カリモク60』ブランドをベースに、先人のデザイナーのDNAを受け継ぎ、現代生活にマッチする機能性、サイズ性を踏まえて新しくデザインされたアイテム(60ブランド誕生以降に開発されたダイニングテーブルやデスクなど)に取り付けられています。
  • ●カリモク60+カリモク (カリモクロクマルプラスカリモク)
    ロングライフデザインの『カリモク60』をベースに、現在の『カリモク』の持つ技術や価値観をプラスしたアイテムに取り付けられています。
  • ●FELICE限定モデル FELICE限定企画で販売されたKチェアにはオリジナルプレートが取り付けられました。(BRIEFING DESIGN Inc.は当店運営会社の名称です) ※「カリモク60」とのダブルプレート仕様
  • ●50周年記念モデル限定復刻プレート
    1962年Kチェア発売当時から1987年まで採用されていたデザインで「カリモクFURNITURE」と記されています。 当時のKチェアには、このデザインのシールが貼られていたのですが、Kチェア誕生50周年記念(2012年)にあたって、 同時期に存在していた金属プレートで復刻した限定プレートです。
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